看護師

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退院していく患者に感謝されたとき

私は、脳の病気で入院してきた患者さんのアナムネ(入院するまでの患者さんの状態や家族の背景などを細かく聞くこと)を取ることになりました。その患者さんは言葉も発せない、手足の自由も利かず、食事も鼻から胃にチューブを入れて行います。それでも、ある程度急性期は脱したので、リハビリ目的で入ることになりました。

リハビリの方はまずは長い間動かしてなかった手足の筋肉をほぐすことから始めました。私はアナムネを取ったため、その患者さんが気になっていたので、リハビリの方法などを見て、教えてもらい、自分の時間を見つけてはその患者さんに同じようなことをしていきました。そして、その患者さんのご主人も毎日お見舞いに来る方で、一緒にマッサージをしたり、話しかけたり筋肉をほぐす体操を一緒に行っていったりしました。

ある日、手足ではなかったのですが、唾(つば)を飲み込む音を聞いたのです。それはすごいことです。鼻から入っているチューブの違和感が出てきたことになるのです。そして、自ら唾を飲み違和感を軽減しようということなのですから。私は、リーダーに相談して、なにか、口から食べさてはどうかと言うのを医師に確認して欲しいと訴えました。医師がそのことをリーダーから聞き、診察に訪れたのです。

そして医師は目の前で、ゼリーやプリンなどを食べさせてみて、咀嚼(口を動かしたり飲み込んだりすること)が出来たなら、やってみようということでした。私は固めのゼリーで挑戦しました。口元にスプーンを運ぶと反応はしませんが、唇にスプーンを当てるとほんの少し唇を開けたのです。そこにゼリーを入れました。口の中ではモグモグと動かしているような感じは見られなかったのですが、時間が経ったころに、ゴクンと飲み込んだのです。そこでむせこんだりしたらダメです。しかし、患者さんはうまく飲み込むことが出来たのです。成功でした。

その日から鼻からのチューブは抜けませんが3食の時間にはゼリーやプリンなどのものを食べさせるようになりました。そして、流動食、3分粥、5分粥、7分粥、全粥と固形物を増やしていきました。全て1/2量ですが。飲み込み方は上手でご主人がお手伝いをしても問題なく出来るようになり、カロリーも取れるようになって入院して1ヶ月でチューブは取れました。栄養は全て口から取れるようになったのです。

そして人間は咀嚼をすると脳への刺激が生まれます。患者さんが言葉を発するのに時間はかかりませんでした。片言からおはようと挨拶までできるようになり、日に日に良くなっていったのです。そして3ヶ月後には、なんと伝い歩き(廊下のバーに捕まって歩く、車椅子を押して歩く)もできるようになりました。ものすごい進歩でした。そして患者さんは言ったのです。「あなたは、最初から私に色々してくれたからここまで出来るようになった、全部覚えているわよ」と。とても感動しました。まさか、最初の入院で、植物状態だったときのことまで患者さんは覚えていたのです。私は、看護師になって良かったと、心から思いました。

そして、半年後には、自分の足で、杖だけで歩いて退院して行ったのです何と言ったらいいのか分からないくらい嬉しいことでした。このような患者さんはほんの1部にしかすぎませんが、私はこのような患者さんがいる限り、看護師は続けていくつもりです。

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